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    「Geminiが使えない」は半分だけ正しい — 無償版Google Workspace for NonprofitsのAI機能を整理する

    「非営利の無料版ではGeminiが使えない」という声がありますが、それは半分だけ正しい説明です。使えるのは「Gemini アプリ」、使えないのは「Gemini in Workspace」(DocsやGmailの横に出るサイドパネル)。この2つを区別できると、有料に上げるべきかどうかを自分の団体で判断できるようになります。

    最終更新: 2026年7月29日

    2026年7月時点の情報です。Google公式ヘルプセンターの記載にもとづきます。

    1. 「無料版ではGeminiが使えない」の正体

    無償版のGoogle Workspace for NonprofitsでGeminiを使おうとして、「使えない」と感じたことはないでしょうか。実はその感覚は半分だけ正しく、原因は同じ「Gemini」という名前の下に、範囲の違う2つの機能が存在していることにあります。

    「団体によって差がある」わけでも「情報が古い」わけでもありません。次の章から、公式情報にもとづいて範囲を切り分けます。

    2. 無償版でも使えるもの(公式が挙げる10項目)

    Google公式のヘルプセンター記事「Workspace for Nonprofitsの新しいAI機能」(2026年7月時点)は、無償版のWorkspace for Nonprofitsに含まれるAI関連機能を次の10項目として列挙しています。

    • 「人物を含む画像生成」を搭載したGeminiアプリ
    • 「音声解説」を搭載したGeminiアプリ
    • 「Canvas」(文章や下書きを対話的に編集できる作業画面)や「テスト機能」を搭載したGeminiアプリ
    • 「Deep Research」(複数の情報源を横断して調べ物をする機能)を搭載したGeminiアプリ
    • 「Gem」(用途ごとに指示をあらかじめ作り置きできるカスタムAI)
    • AI機能を搭載した「Google Vids」(動画作成ツール。制限付き)
    • 「Gemini Live」を使った対話型コミュニケーション
    • 「要約」「音声解説(50以上の言語対応、長さ調整可能)」「Q&A機能」を搭載したNotebookLM
    • 「マインドマップ」を搭載したNotebookLM
    • 「Discover Sources」(関連する情報源を自動で見つける機能)を搭載したNotebookLM

    あわせて、無償版のGeminiアプリはエンタープライズ級(法人向け契約に準じる水準)のデータ保護つきで提供されるとされています。これらの機能追加は、2025年6月11日にGoogleが「Workspace for Nonprofitsに10以上の新しいAI機能を追加する」と発表した内容にもとづきます。

    3. 無償版では使えないもの

    同じ公式ヘルプセンター記事は、無償版では使えないものも明記しています。整理すると次の2つです。

    • 上限が拡大され、カスタマイズや分析などの高度な機能を備えたNotebookLM(無償版では、2.に挙げた基本機能の範囲にとどまります)
    • Gemini in Workspace(無償版では使用不可。有料エディション(契約プランの区分)のBusiness Standard以上へのアップグレードが必要です)

    この「Gemini in Workspace」こそが、多くの読者が「Geminiが使えない」と感じる原因とみられます。詳しくは次の章で説明します。

    4. 「Geminiアプリ」と「Gemini in Workspace」の違い — 事務担当者向けの見分け方

    誤解が起きやすいのは、この2つがどちらも「Gemini」と呼ばれるためです。事務担当者にとって一番わかりやすい見分け方は、「どの画面から使うか」です。

    • Gemini アプリ: gemini.google.comや専用アプリを単独で開いて使うAIです。無償版のWorkspace for Nonprofitsアカウントでも使えるとされています(2.の10項目の中心)。
    • Gemini in Workspace: Google Docs・スプレッドシート・スライド・Gmailなどを開いたときに、画面の横に表示される補助パネル(サイドパネル)や、文章作成中に出る「Help me write(作成を手伝って)」のような機能です。これは無償版では使えず、Business Standard以上へのアップグレードが必要です。

    つまり「Docsを開きながら右側のパネルでAIに手伝ってもらう」という使い方は無償版ではできませんが、「別タブでGeminiアプリを開いて相談し、結果をDocsに貼り付ける」という使い方は無償版でも可能、という整理になります。

    5. NotebookLMはGemini Notebookに改称された(2026年7月16日)

    Google Workspace Updatesは2026年7月16日、NotebookLMをGemini Notebookに改称すると発表しました。これは別の新製品への切り替えではなく、同じ製品の名称変更で、調査用のスタンドアロン製品(単独のサービスとして独立して使えるもの)として継続するとされています。既存のリンクや共有済みのノートはリダイレクト(自動転送)されるとされています。

    なお2026年7月29日時点では、Google for Nonprofitsの案内ページの一部はまだ「NotebookLM」という表記のままです。これは別サービスという意味ではなく、案内側の表記更新が追いついていないだけとみられます。ちなみにNotebookLMは2025年2月5日付でWorkspaceのコアサービス(Workspaceの契約に標準で含まれる主要サービスの位置づけ)になっています。

    6. 使えるが、Proの上限は思ったより早く来る

    無償版でもGeminiアプリ自体は使えます。ただし実際に使ってみると、モデルの利用回数の上限に思ったより早く当たる、という声があります。ここでは運営メンバーの実感と、公式ヘルプの説明を分けて整理します。

    当サイトの運営メンバーが無償版のWorkspace for NonprofitsでGeminiを使ったところ、Pro系のモデルを数回使ったところで上限に達し、その後は高速モデル(Flash系)で作業を続けることになった、という実感がありました。ただしこれは運営メンバー1人・1団体の使い方にもとづく一事例であり、プロンプトの長さや添付ファイルの有無によって結果は変わり得るため、他の団体でも同じ回数で上限になるとは限りません。

    公式の非営利向け機能比較表(英語版)は、Pro系のアクセスについて「アクセス状況は変動し、1日あたりの上限は頻繁に変わることがある」と記載しています。また仕事用・学校用アカウント向けのGeminiヘルプは、上限に達するまでに実行できるプロンプトの回数は一定ではなく、プロンプトの長さや複雑さ、アップロードしたファイルのサイズや数、会話の長さなどの要素によって決まる、と説明しています。つまり「何回で上限になる」という固定の回数は、公式には存在しません。

    同じヘルプは、思考モードまたはProモードの上限に達しても、同じチャット内で高速モードを使って会話を続けられるとも説明しています。運営メンバーの実感(上限後にFlashで続けることになった)は、この公式説明と整合する動きとみられます。なお上限が近づくとGeminiアプリ内に通知が表示され、上限に達すると通知の内容が変わっていつリセットされるかがわかるほか、設定の「使用量上限」画面でも確認できます。上限のリセット周期については、公式ページ内でも「1日あたり」「所定の時間枠」「5時間または1週間の使用量の上限」といった複数の表現が使われており、無償の非営利版に具体的にどの周期が適用されるかは公式に明示されていません。

    読者が実務上取れる工夫としては、通知を目安に重要な作業から先にProで済ませておく、長いプロンプトや大きな添付ファイル・長い会話は消費が大きくなるとされているため用途によって会話を分けてみる(これは公式の要因説明にもとづく推測です)、上限に達しても高速モデルで会話自体は継続できるので作業が完全に止まるわけではない、といった点が挙げられます。

    なお、非営利向けの機能比較表に載っているモデル名(3 Pro / 2.5 Pro / 2.5 Flash)は、2026年7月29日時点の最新ラインナップを反映していない可能性があります。Googleは2026年7月21日にGemini 3.6 Flashを公開しており、一般提供されているPro系として確認できる最新の名称はGemini 3.1 Proです。したがって自団体のアカウントで実際にどのモデルが選べるかは、Geminiアプリのモデル選択欄で確認するのが確実です。

    7. 有料に上げるかどうかの判断軸(と、当サイトが断定しないこと)

    「Gemini in Workspace」を使いたい場合、判断材料になりそうな軸を挙げます。ただし当サイトの運営メンバーはこの範囲の実測をしていないため、費用対効果そのものは断定しません。

    • まず、Geminiアプリ単体(無償版に含まれる範囲)で目的を満たせないかを確認する。Docs内の編集支援が必須でなければ、無償版のままで運用できる可能性があります。
    • 有料エディションへの切り替えは席(ライセンス。契約している利用者アカウントの数)ごとに費用が発生します。「団体の全席をまとめて上げる」以外に、「AIを使う頻度が高い担当者の席だけ有料にする」という選択肢もあり得ます。どちらが合うかは団体の規模や用途次第で、当サイトは特定の選び方を推奨しません。
    • Geminiの各モデルには利用回数の上限があります(詳細は6章)。公式は「1日あたりの上限は頻繁に変わることがある」旨を注記しており、当サイトも固定の回数としては案内しません。

    なお公式の機能比較表(下記出典参照)は列数が多く、無償版の欄が空欄のように見えて読み取りにくい構成になっています。当サイトは今回、専用のヘルプセンター記事(16345471)の記載を優先して整理しました。Google Vidsなど一部の機能には古い期限の注記が残っていたり、段階的な提供(ロールアウト。機能を利用者に順次公開していく方式)の途中だったりするため、実際に自団体のアカウントで使えるかは管理コンソール(組織全体の設定を管理する画面)と各アプリで確認するのが確実です。

    AIツールの選び方全般はAI活用ガイド、Workspace自体の申請手順はGoogle Workspaceガイドで解説しています。Googleが非営利団体向けに用意しているAI研修や個別サポートについては 別記事「Googleの非営利向けAI研修と1:1サポート」 でまとめています。