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    「無料の会計ソフト」ではない — freee会計 NPOキットの実像(対象・機能・費用)

    NPO法人の会計担当者の間で名前が挙がるfreee会計の「NPOキット」。無料で提供されていますが、無料なのはキット(勘定科目セットと決算テンプレート)であって、freee会計本体の有料契約が前提です。何が無料で何が有料か、どんな団体に向くのかを公式一次情報から整理します。

    最終更新: 2026年7月21日

    2026年7月時点の情報です。料金はすべて税抜。freeeには恒常的な非営利割引はなく(確認できた範囲)、この記事で扱うのは「NPO向けの無料テンプレート付き有料ソフト」です。

    1. NPOキットとは何か — 中身は3点セット

    NPOキットは、freee会計を「NPO法人会計基準」に対応させるための無料の追加セットです。公式ヘルプ(2026年4月更新)によると、中身は次の3点です。

    • NPO法人用の勘定科目・部門セット(CSV): 受取会費・受取寄附金・受取助成金等など、NPO法人会計基準の科目を一括インポートできます
    • NPO法人用の決算テンプレート(Excel): freeeの試算表から活動計算書などへ自動転記します。ただし「全自動ではなく一部項目は手動編集が必要」と公式に明記されています
    • 使い方ガイド: 導入から決算までのヘルプページ一式

    対象は、NPO法人会計基準を採用するNPO法人・非営利型の一般社団法人・任意団体とされています。NPO法人会計基準は通常の企業会計と科目や様式が異なり(損益計算書ではなく、事業費と管理費を区分した「活動計算書」を作る等)、汎用の会計ソフトをそのまま使うと決算時に組み替えが必要になります。このギャップを埋めるのがキットの役割です。

    2. 「無料」なのはキットだけ — 前提となる費用

    ここが誤解されやすいポイントです。NPOキット自体は無料ですが、freee会計本体の法人向けプラン契約が前提です。個人事業主向けプラン(年11,760円〜)はNPOキットの対象外と公式ヘルプに明記されています。

    法人プランの現行料金(年払い・税抜)は、ひとり法人プランが月2,980円(年35,760円)、スタータープランが月5,480円(年65,760円)、スタンダードプランが月8,980円(年107,760円)などです(2026年7月時点の公式料金ページ)。最安のひとり法人プランは部門が2個までという制限があり、複数の事業を部門で分けたい団体は実質スタータープラン以上になる、と公式ヘルプ自身が案内しています。

    また、freeeに恒常的な非営利割引は確認できませんでした。公式のNPO向けページで案内されているのは「freee会計の1ヶ月クーポン」と無料の導入相談です。GoogleやMicrosoftのような無償提供・大幅割引の非営利プログラムとは性質が違うものとして予算を組む必要があります。

    3. キットの制限 — 収益事業があると壁に当たる

    公式ヘルプにはキットの制限も明記されています。予算や体制に関わるものを挙げます。

    • 決算テンプレートは収益事業に未対応: 法人税の申告対象になる収益事業を持つ団体は、テンプレートだけでは決算書を作れません
    • 事業部門・銀行口座・カード・追加勘定科目はそれぞれ10個まで(Excelマクロの構造上、行列の追加ができないため)
    • テンプレートはExcelマクロ前提のため、Googleスプレッドシート運用の団体は手作業の工夫が必要

    収益事業対応や部門10超が必要な場合の受け皿として、有償の連携アプリ「Nport」(税理士法人つばめ提供・年10,000円税抜、無料お試しあり)が公式に案内されています。つまり規模や事業構成によっては「freee本体+Nport」が実質の構成になります。

    4. どんな団体に向くか

    整理すると、freee会計+NPOキットが向くのは次のような団体です。

    • NPO法人会計基準で活動計算書を作る必要があり、Excelや手書きでの帳簿づけから移行したいNPO法人・非営利型一般社団法人
    • 収益事業がない、または小規模で、部門数が10以内に収まる団体
    • 年3.6万〜6.6万円程度(税抜・ひとり法人〜スタータープランの場合。スタンダード以上は年10.8万円程度〜)のソフト費用を、記帳・決算の省力化への投資として予算化できる団体

    なお競合では、マネーフォワードは「NPO法人等に特化した帳簿や決算書類の作成には対応していません」と公式FAQで明言しており、NPO法人会計基準への対応を公式にうたうクラウド会計としては、今回確認した範囲ではfreee(+キット)が有力な候補の一つです。会計とあわせて寄付・会費の管理を整えたい場合は 寄付・会費管理ガイド も参考にしてください。社会福祉法人の場合は会計基準自体が別(社会福祉法人会計基準)のため、NPOキットは対象外である点に注意が必要です。

    5. 出典リンク

    料金は2026年7月時点の公式ページの表示にもとづきます(freeeの料金ページ間で年払い表記に揺れがあり、契約前に最新の公式表示の確認をおすすめします)。当サイトは非アフィリエイト方針であり、リンクに成果報酬等のパラメータは含まれていません。掲載内容の誤りにお気づきの際は、お問い合わせからご指摘いただけると助かります。