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    非営利団体の寄付・会費管理ガイド

    寄付の台帳はExcelと紙に散らばり、御礼は手作業、オンラインの受け皿はない——多くの団体の寄付・会費管理は、無料の道具から段階的に仕組みにできます。台帳の統一、寄付決済、そしてSalesforceの10ライセンス寄贈まで、順番に解説します。

    最終更新: 2026年7月18日

    現場で起きていること

    日本の個人寄付は、2024年に2兆261億円と過去最高を更新しました(日本ファンドレイジング協会「寄付白書2025」)。そのうち1兆2,728億円はふるさと納税——返礼品という別の動機はあるものの、オンラインで申し込み、カードで払い、お礼も控えもすぐ届く決済の体験としては、多くの人がすでに慣れています。一方で、受け取る側の団体の現場はどうでしょうか。

    寄付・会費の台帳が、Excelと紙に散らばっている

    寄付は担当者のExcel、会費は紙の名簿、香典返しの記録はまた別のファイル——どれが最新か分からず、年度末の集計と御礼状の宛名づくりのたびに突き合わせ作業が発生します。

    領収書と御礼が手作業で、遅れがちになる

    1件ずつ手書き・手入力で発行していると、寄付から御礼まで数週間空くことも珍しくありません。お礼が遅い団体に、次の寄付は集まりにくくなります。

    オンラインで寄付を受け取る手段がない

    「寄付は銀行振込のみ」だと、思い立った人がその場で寄付できません。振込手数料を寄付者に負担させることにもなり、少額の寄付ほど途中で諦められてしまいます。

    一度きりの寄付者と、関係が続かない

    誰がいつ・何に共感して寄付してくれたのかが記録されていないと、活動報告も次のお願いも「全員に同じ文面」になります。継続寄付(マンスリーサポーター)への育成は、記録があって初めて成り立ちます。

    道具の4つの選択肢

    いきなり高機能なシステムを入れる必要はありません。無料でできることから、段階的に積み上げる順で並べました。

    まず台帳を1つにする(手元のスイートで・無料)

    最初の一歩は、散らばった記録を1つのスプレッドシートに集めることです。「日付・氏名・連絡先・金額・種別(寄付/会費)・御礼済みか」の6列を用意すれば、最小限の出発点として機能します。決済サービスを併用する場合は、決済ID・領収書番号などの列を追加して突き合わせられるようにしておくと、後から件数が増えても照合に困りません。申込みの受け付けも、Microsoft FormsやGoogleフォームに置き換えれば転記が要らなくなります。どちらも非営利プランの無償枠に含まれています。

    向いているケース: すべての団体。道具を買う前の土台づくりです。

    オンライン寄付の受け皿をつくる(コングラントなど)

    クレジットカードで寄付を受け取るには、寄付決済サービスを使うのが近道です。国内ではコングラントが非営利専用のサービスとして広く使われており(認定NPO・公益法人など3,000団体超)、フリープランなら月額0円で寄付ページを1つ公開できます(決済手数料8%+税・5円/決済+税)。このほか、寄付金を指定口座に振り込む際に事務手数料400円+税/月がかかります(公式料金ページ congrant.com/jp/fee.html、2026年7月時点)。寄付が増えてきたら、有料プラン(ライト月額¥4,000+税〜・年間一括)で決済手数料を3.4%+税に下げる、という段階設計ができます。

    向いているケース: 「寄付は振込のみ」から抜け出したい団体。まず無料プランで受け皿を。

    同種の寄付決済サービスはほかにもあります(Syncableなど)。手数料体系が異なるため、寄付の件数・単価に合わせて各公式ページで比較してください。

    支援者管理(CRM)を本格化する(Salesforce: 10ライセンス無料)

    寄付者・会員・ボランティアとの関係を本格的に管理するなら、CRM(支援者や顧客の情報を1か所で管理するシステム)のSalesforceに「Power of Us」という寄贈プログラムがあります。Enterprise Edition相当の10ライセンスが無料(1法人につき1回)で、日本の適格性ページでは特定非営利活動法人・公益法人に加えて社会福祉法人も対象と明記されています。寄付履歴・参加履歴・メール配信を1人の支援者に紐づけて見られるのがCRMの価値です。

    向いているケース: 支援者が数百人を超え、スプレッドシートの限界を感じている団体。

    会費・名簿・業務アプリはkintoneという選択肢も

    会員名簿・会費の入金チェック・イベント出欠のような「団体内の業務アプリ」は、サイボウズのkintoneで自作する方法もあります。非営利団体向けの「チーム応援ライセンス」なら1サービス年額9,900円(税抜・900ユーザーまで)です。国産サービスで日本語の情報が豊富なのが強みです。

    向いているケース: 会員数が多く、名簿と入金管理を仕組み化したい団体。

    対象は特定非営利活動法人・非営利型の一般法人・労働者協同組合・要件を満たす任意団体です。社会福祉法人・公益法人は対象として明記されておらず、適用可否はサイボウズの審査次第です。

    コラム: 手数料8%は「高い」のか — 分岐点を計算してみる

    「寄付の8%が手数料」と聞くと、ためらう方は多いはずです。3,000円の寄付なら約245円(決済手数料8%+トランザクション費5円、いずれも税抜の計算)が差し引かれる計算で、寄付者の善意が目減りするようで気が引ける——その感覚は自然なものです。ただしこれは税抜の目安で、実際には消費税分が上乗せされ、団体側には寄付金を振り込む際の事務手数料400円+税/月も別途発生します(公式料金ページにもとづく、2026年7月時点)。

    ただ、視点を変えると景色が少し変わります。「寄付は銀行振込のみ」の受付では、振込手数料(他行宛なら数百円かかることも)を寄付者自身が負担する構図でした。3,000円の寄付に手数料を払い、ATMや振込画面まで足を運んでもらうより、団体側が決済手数料(と、別途発生する事務手数料)を負担してその場で完結してもらうほうが、寄付する側のハードルはずっと低くなります。決済手数料は「団体の損」ではなく、これまで寄付者に負わせていた手間とコストの肩代わり——そう考えると、8%の意味あいが変わって見えてきます。

    それでも寄付が育ってきたら、有料プランと比べる番です。コングラントの場合、フリープラン(手数料8%)とライトプラン(月額¥4,000+手数料3.4%、いずれも税抜)の手数料差は4.6ポイント。月額¥4,000をこの差で割ると、分岐点は月およそ8.7万円の寄付(年約104万円)と計算できます。

    目安をひとことで

    「オンライン寄付が月8〜9万円を超える月が続いたら、有料プランの見積もりを取る」——覚えておくのはこれだけで十分です。料金は変更されることがあるため、切り替えの際は公式の料金ページの最新の数字で計算し直してください。

    導入前の注意点

    決済手数料はゼロにはならない

    オンライン寄付には、どのサービスを使っても決済手数料がかかります。「月額0円・手数料8%」と「月額あり・手数料3.4%」のどちらが得かは寄付額次第です。具体的な分岐点は上のコラムで計算しています(目安は月8.7万円)。コングラントの場合はこのほかに、寄付金を振り込む際の事務手数料400円+税/月が別途かかります(公式料金ページ、2026年7月時点)。導入前に公式の料金ページで最新の費用項目をすべて確認してください。

    HubSpotの非営利割引は日本対象外

    CRMの選択肢としてよく名前が挙がるHubSpotには40%OFFの非営利プログラムがありますが、対象は北米・オーストラリア・ニュージーランドで登録された団体で、日本の団体は対象外です(2026年7月時点)。日本から使える寄贈CRMとしては、Salesforceが現実的な選択肢です。

    Salesforceは「もらってから」が本番

    10ライセンスの寄贈は強力ですが、CRMは導入・設定・定着に学習コストがかかります。「無料でもらえるから」だけで飛びつかず、誰が管理者になるか・最初にどの業務を載せるかを決めてから申請しましょう。国内にはNPO向けのSalesforce導入支援を行う団体もあります。

    寄付控除の説明は団体の認定状況とセットで

    寄付ページに「税制優遇が受けられます」と書けるかどうかは、団体の認定状況(認定NPO法人・公益法人など)によります。ツールの導入とあわせて、自団体の寄付が控除対象かどうか・領収書に何を記載すべきかを確認しておくと、寄付者への案内がぶれません。

    はじめの一歩

    01

    台帳を1つのスプレッドシートに統一する

    散らばった寄付・会費の記録を1つに集め、「日付・氏名・連絡先・金額・種別・御礼済みか」の列で整理します。あわせて申込み・申請の受け付けをフォームに置き換えれば、転記作業が消えます。

    ここまでは追加費用ゼロです。手元のMicrosoft 365 / Google Workspaceの機能でできます。
    02

    オンライン寄付の受け皿を無料プランで開設する

    寄付決済サービスの無料プランで寄付ページを1つ作り、団体サイトやSNSからリンクします。クレジットカードで「その場で寄付できる」導線ができれば、思い立った人がその場で寄付できず離脱してしまう機会損失を減らせます。

    寄付の件数が増えてきたら、手数料の低い有料プランと月額費用を比較して切り替えを検討します。
    03

    支援者が増えたらCRM(Salesforce寄贈)を検討する

    スプレッドシートで回らなくなってきたら、Salesforceの10ライセンス寄贈を検討します。管理者を決め、寄付者管理など1つの業務から載せるのが定着のコツです。

    申請は公式のPower of Usページから。審査は書類提出から最大3営業日とされています(日本の団体では前後する可能性があります)。

    このガイドは2026年7月時点のSalesforce・サイボウズ・コングラント・HubSpotの公式情報にもとづいています。運営チームでの実申請はこれからのため、所要日数などは公式の案内値を記載しています。各プログラム・料金は変更されることがあるため、導入前に公式ページで最新の条件をご確認ください。当サイトは非アフィリエイト方針で運営しており、掲載サービスから紹介料を受け取ることはありません。

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    台帳づくりの土台になるスイートの無償枠と、各サービスの詳細はこちらから。