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    非営利団体の「広報・発信」ガイド

    チラシ作りに時間がかかる、SNSが続かない、活動が必要な人に届かない。広報の悩みの多くは、無料・割引の非営利プログラムで仕組みから変えられます。目的別の道具と、お金をかけない導入の順番を解説します。

    最終更新: 2026年7月18日

    現場で起きていること

    広報物づくりに時間がかかりすぎる

    チラシも広報誌もSNS画像もWordで手作り。「デザインができる職員」に仕事が集中し、その人が忙しいと広報が止まります。本来の支援業務の時間が、レイアウト調整に吸われていきます。

    SNSの更新が続かない

    アカウントは作ったものの、担当者は兼務。投稿は行事のあとに思い出したように1回、が続きます。X・Instagram・Facebookと窓口が増えるほど、それぞれの管理が重くなります。

    活動が「探している人」に届かない

    サービスを必要としている人、寄付やボランティアを考えている人は、まず検索します。そのときに団体のサイトが出てこなければ、活動を知ってもらう機会を大きく失います。

    人の募集がうまくいかない

    職員の採用もボランティアの募集も、掲示板と口コミ頼み。募集ページを作る・応募を受け付ける・シフトを組むという事務作業も、すべて手作業になりがちです。

    目的別の道具

    広報の仕事は「作る」「見つけてもらう」「発信を続ける」「人を集める」の4つに分けられます。それぞれに非営利プログラムがあり、最初の2つは無料で始められます。

    デザイン: Canva(50名まで無料)

    ポスター・広報誌・SNS画像をテンプレートから作れる定番ツールです。非営利団体はPro相当の全機能+チーム機能を50名まで無料で使えます(通常月$15前後)。テンプレートを起点にすれば、デザイン経験のない職員でも見栄えのする広報物が作れます。運営メンバーが実際に申請したところ、Goodstack認証を取得済みならごく簡単な手続きで承認されました。

    向いているケース: ほぼすべての団体。広報のIT化はここから始めるのが定番です。

    Adobe製品をすでに使っている団体や日本語のAdobe Fontsを広報物に使いたい場合は、Adobe Express(50名まで1年無料・更新制)も選択肢です。

    検索広告: Google Ad Grants(月US$10,000の広告枠が無料)

    「地域名+子ども食堂」のように検索した人の結果画面に、団体の広告を無料で出せる助成プログラムです。中心はGoogle検索のテキスト広告で、Google for Nonprofits登録(審査はGoodstack担当)と有効化リクエストが必要です。「探している人に見つけてもらう」への直接の答えになります。

    向いているケース: 利用希望者・寄付者・ボランティアに検索で見つけてほしい団体。サイトがあることが前提です。

    登録の申請自体は特別な技術知識がなくても進められますが、有効化後は「アカウントを保つ条件」を毎月確認する担当者が必要です(詳しくは注意点の項目で説明します)。取得前に、誰が運用を続けるかを決めておいてください。

    SNS・メルマガの運用: Hootsuite(60%OFF)/ Constant Contact(最大30%OFF)

    Hootsuiteは、複数のSNSアカウントへの投稿をあらかじめ日時を決めて自動で公開する「予約投稿」の機能と、各SNSでの反応の確認を1つの画面にまとめられるツールです(非営利はStandard $39/月、通常$99)。Constant Contactは、会員・寄付者向けメールマガジンを配信するためのツールで、前払いなら最大30%OFFです。どちらも割引後も月額が残る有料前提のツールなので、投稿する体制ができてからの導入が向いています。

    向いているケース: 複数SNSや定期メルマガを本格運用するフェーズに入った団体。

    Constant Contactの割引手続きは英語の電話・メールが前提のため、敷居はやや高めです。

    人集め: LinkedIn(最大50%OFF)/ Bugle(無料)

    LinkedInはビジネス向けSNSで、非営利団体は関連する3つの有料機能の法人契約が最大50%OFFになります。職員の採用活動で応募者管理に使う「Recruiter」、企業のCSR担当者(企業の社会貢献活動の担当者)を検索してつながる「Sales Navigator」、職員研修用の動画講座「Learning」の3つです(審査はLinkedIn直接、返答まで10日ほどとされています)。ボランティアの募集・シフト管理・当日受付なら、Bugleの無料プランがイベント数・登録者数無制限で使えます。

    向いているケース: 採用・企業連携を強めたい団体(LinkedIn)、ボランティア運営の事務を減らしたい団体(Bugle)。

    Bugleは米国発で画面は英語のみです。日本で使う場合は事前の動作確認をおすすめします。

    コラム: フォロワー100人の団体ほど、検索が効く

    SNSの投稿が届く範囲は、シェアやおすすめ表示で広がることもありますが、フォロワー100人の団体が毎日投稿を頑張っても、主にその100人前後にとどまりがちです。ところが検索は違います。「地域名+子ども食堂」と検索する人は、団体の知名度に関係なく、いままさに困っている人・探している人です。検索結果に出られるかどうかはフォロワー数とは別の仕組みで決まります(サイトの内容・競合の状況・検索需要にも左右されます)——ここが、小さな団体ほどAd Grantsを検討する価値がある理由です。

    規模の感覚もつかんでおきましょう。Ad Grantsの月US$10,000は、年に換算すると$120,000分の広告枠。現金ではなく「Google検索のテキスト広告」という現物支給ですが、審査と継続条件を満たせば毎年使い続けられます。これほどの規模の無料広告枠は他にほとんど例がなく(2026年7月時点、当サイト調べ)、使いこなすには月に数時間の運用が必要です(この「タダではない」側面はAd Grants導入ガイドのコラムで詳しく書いています)。

    最初のキーワードは「地域名+活動」

    「寄付」「ボランティア」のような全国区の一般語は競争が激しく、継続条件のCTR 5%も満たしにくくなります。まずは「市区町村名+学習支援」のような、探している人の言葉に近い具体語から始めるのが定石です。

    申請前に知っておきたい注意点

    広報系のプログラムは紹介記事も多い分、古い情報や日本対象外の情報が混ざりがちです。当サイトで一次情報を確認できた注意点をまとめます(2026年7月時点)。

    Eventbriteの半額は日本対象外

    イベント管理のEventbriteには非営利向けProプラン50%OFFがありますが、対象国は米国・カナダ・英国・アイルランド・オーストラリア・ニュージーランドで、日本は含まれていません(2026年7月時点)。なお無料チケットのイベントであれば、割引がなくても手数料はかかりません。

    Hootsuite「75%OFF」は古い情報の可能性

    ネット上には「TechSoup経由で最大75%OFF」という紹介が残っていますが、2026年7月時点でHootsuite公式・TechSoupのどちらでもこの条件は確認できませんでした。公式ページの60%OFF(HootGiving)を基準に検討してください。

    Ad Grantsには継続条件がある

    月$10,000の広告枠は強力ですが、「広告が表示された回数のうち、実際にクリックされた割合」を示すクリック率(CTR)を5%以上に毎月保つこと、問い合わせ・申込みなどサイト上での成果(コンバージョン)を計測する設定、検索した言葉と広告文・サイト内容が一致しているかを見る「キーワードの品質」ルールなど、複数の条件を満たし続ける必要があります。放置するとアカウントが停止されるため、月に一度は様子を見る運用体制とセットで導入しましょう。

    広告は「クリック課金」型が多く、割引対象外が多い

    「クリック課金」とは、広告が表示された回数ではなく、実際にクリックされた回数に応じて費用が発生する広告の仕組みです。LinkedInの非営利割引はRecruiter・Sales Navigator・Learningの法人契約が対象で、クリック課金の広告そのものは対象外です。SNS広告全般も、非営利割引の対象になっているものはほとんどありません。Google Ad Grantsほどの規模の無料広告枠は、他にほとんど例がありません(2026年7月時点、当サイト調べ)。

    技術担当者向けメモ

    コンバージョン計測の設定にはサイトへのタグ設置が必要で、サイトを編集できる環境がないと完結しません。Ad Grantsを申請する前に、タグ設置を頼める先(自団体の担当者、または委託先の制作会社)を決め、有効化後の毎月の状況確認は誰が担当するかも合わせて決めておくと、後で作業が止まりません。

    はじめの一歩

    01

    Canvaで「作る時間」を減らす

    まず無料のCanvaを申請し、チラシ・SNS画像づくりをテンプレート起点に切り替えます。Goodstack認証済みなら申請はすぐ終わります。広報チームで50名まで招待できるので、「作れる人」を増やすことにもつながります。

    申請手順はCanva申請ガイドにまとめています。
    02

    Ad Grantsで「見つけてもらう」を仕組みにする

    団体のサイトがあるなら、Google for Nonprofitsに登録してAd Grantsの有効化を申請します。登録自体は特別な技術知識がなくても進められますが、有効化後の成果計測の設定にはサイトを編集できる人(自団体の担当者、または委託先の制作会社)が必要になるため、申請前に頼み先を決めておきます。「地域名+活動分野」で検索する人に届く導線を作れます(表示や成果は検索需要や広告の品質によります)。

    登録から有効化・継続条件まではGoogle Ad Grants導入ガイドで解説しています。
    03

    運用が回り始めたら有料ツールを検討する

    SNSの投稿や会員向けの発信が習慣として回り始めてから、Hootsuite(60%OFF)やConstant Contact(最大30%OFF)のような有料ツールを検討します。割引があっても月額は残るので、「道具が先、体制があと」にならない順番が大切です。

    採用・企業連携のフェーズではLinkedInの法人契約割引(最大50%OFF)も選択肢に入ります。

    このガイドは2026年7月時点の各社公式ページ(Canva・Adobe・Google・Hootsuite・Constant Contact・Eventbrite・LinkedIn・Bugle)にもとづいています。各プログラムの内容は変更されることがあるため、申請前に公式ページで最新の条件をご確認ください。

    関連ガイド

    無料の2つ(Canva・Ad Grants)はどちらも申請ガイドがあります。団体認証がまだの方はGoodstackから。