NPO法人はOK、社会福祉法人はNG? — 非営利プログラムの「法人格の壁」を横断比較する
「非営利団体向け」と銘打たれたプログラムでも、日本のどの法人格が対象になるかはサービスごとに驚くほど違います。NPO法人なら通るのに社会福祉法人は対象外、逆に社会福祉法人が名指しで対象のものも。主要サービスの適格条件を一次情報から横断比較し、自分の団体の法人格で何が使えるかを見通せるようにします。
最終更新: 2026年7月21日
2026年7月時点の各社公式ページ・公式PDFにもとづきます。適格性の最終判断は各サービスの審査によります。凡例: ○=対象と明記 / ×=対象外 / △=条件付き / −=公式に明記なし / 未確認=一次情報を直接確認できていない箇所。
1. 「非営利向け」の定義は、サービスごとに違う
当サイトの運営メンバーが所属する団体は社会福祉法人です。LINE WORKSの非営利特別プランを調べたとき、対象外の法人格として「公益法人、社会福祉法人、宗教団体、学校法人、医療法人…」と明記されているのを見つけました(詳細は別記事)。一方で、GoogleやMicrosoftのプログラムでは、社会福祉法人は「所轄庁の認可を受けた法人」として名指しで対象に含まれています。
つまり「非営利団体向け」という同じ看板でも、各社が想定する「非営利」の範囲はまったく別物です。この記事では主要8サービスの対象法人格を一次情報で突き合わせ、どこに壁があるのかを整理します。
2. 横断比較表 — サービス×法人格
| サービス | NPO法人 | 社会福祉法人 | 公益社団/財団 | 一般社団/財団 | 任意団体 |
|---|---|---|---|---|---|
| LINE WORKS特別プラン | ○ | ×(明記) | ×(明記) | △(非営利型のみ) | ○ |
| サイボウズ チーム応援 | ○ | −(リスト外) | −(リスト外) | ○(非営利型) | △(4要件) |
| Google for Nonprofits | ○ | ○(明記) | ○ | ○ | ×(法人格必須) |
| Microsoft非営利 | ○ | ○(明記) | ○ | ○(非営利型) | −(記載なし) |
| Canva Nonprofits | △(Goodstack審査) | −(明記なし) | − | − | − |
| Slack非営利割引 | △(TechSoup経由) | △(TechSoup経由) | 未確認 | 未確認 | × |
| Box.org(TechSoup経由) | △(TechSoup経由) | 未確認 | 未確認 | 未確認 | × |
| TechSoup Japan登録 | ○ | ○(予算上限あり) | ○ | △(一般財団は×) | ×(明記) |
※学校法人・医療法人はさらに厳しく、Google(教育機関・医療機関は別枠で除外)、LINE WORKS(明記で対象外)、TechSoup Japan(登録自体が対象外)と、確認した範囲ではほぼ全滅です。SlackとBox.orgはTechSoup Japan経由での申請になるため、「TechSoupに登録できる法人格か」が実質の入口条件になります。
3. 壁のパターンは3つある
比較してみると、「対象外」の書かれ方には3つのパターンがあることがわかります。
- 明記型: LINE WORKSのように対象外の法人格を列挙するタイプ。判断は明快で、申請前に諦めがつきます
- リスト外型: サイボウズのチーム応援ライセンスのように、対象リストに載っていない(社会福祉法人・公益法人などの記載がない)タイプ。明示のNGではないため、問い合わせや審査で判断が変わる余地があります。サイボウズの場合は「上記以外の非営利団体はアカデミック/ガバメントライセンスの対象になる可能性がある」という別導線の案内もあります
- 認可条件型: Google・Microsoftのように「所轄庁の認可を受けた社会福祉法人」など、法人格ごとに確認書類・認可要件を定めて対象に含めるタイプ。申請資格を事前に確認しやすい形ですが、最終的に承認されるかは各社の審査次第です
なぜこの違いが生まれるかについて各社の公式説明はありませんが、プログラムの狙いの違いは読み取れます。LINE WORKSやサイボウズの特別プランは「フリープランでは足りない小規模な草の根団体」への支援という色が濃く、経営基盤を持つ制度法人はその想定から外れているとみられます。一方、GoogleやMicrosoftのプログラムは世界共通の非営利支援の枠組みで、各国の法制度に合わせて適格法人を定義しています。
4. 自分の団体で確認する手順
法人格の壁で無駄足を踏まないために、申請前に次の順で確認するのがおすすめです。
- ①対象法人格の原文を読む: 「非営利向け」の見出しだけで判断せず、適格性(eligibility)のページで自団体の法人格が書かれているかを確認する。日本語ページに詳細がない場合、英語の国別リスト(MicrosoftはPDF)に日本の条件が書かれていることがあります
- ②認証経路を確認する: Goodstack審査(Google・Canva等)かTechSoup経由(Slack・Box等)かで、必要書類も入口条件も変わります。詳しくは Goodstackガイド・TechSoupガイド へ。「認証は通ったのに個別サービスの審査で落ちる」ことがある構造は 別記事 で解説しています
- ③「リスト外型」は問い合わせる: 明示のNGがないサービスは、法人格と活動内容を添えて公式窓口に確認する価値があります
- ④更新条件もみる: たとえばGitLabの非営利プログラム(Ultimate最大20席無料)は毎年の更新手続きが必要で、年間の寄贈上限に達すると先着順で受付が締め切られます。「一度通れば永続」とは限りません
対象外だった場合も、通常のフリープランは法人格を問わず使えるのが一般的です。個別サービスの代替案は サービス一覧(トップページ) から法人格の条件とあわせて確認できます。
5. 出典リンク
- LINE WORKS: 非営利団体向け特別プラン(対象外法人格の明記)
- サイボウズ: チーム応援ライセンス(対象団体)
- Google公式ヘルプ: 日本の対象団体(社会福祉法人を含む)
- Microsoft: 国別適格性要件PDF(日本欄に社会福祉法人を明記)
- Canva: Canva for Nonprofits適格性ガイドライン
- TechSoup Japan: 団体登録について(対象外法人格の明記)
- GitLab: 非営利団体向けプログラム(年次更新・先着順)
SlackとBox.orgの対象法人格は公式ヘルプの直接確認が一部未達のため、TechSoup Japan経由という構造にもとづく条件付き(△)表記としています。各セルの判定は2026年7月時点の公式記載にもとづきますが、審査基準は変更されることがあります。掲載内容の誤りにお気づきの際は、お問い合わせからご指摘いただけると助かります。